会社を辞めて、失業保険はいつもらえるのか?

会社勤めをしている人が会社を辞める理由には、いろいろなパターンがあります。働き盛りの40代男性の場合に絞ってみても、ざっと以下のようなケースがあり得るでしょう。

・会社が倒産した
・経営が悪化してリストラされた
・会社が移転して通勤できなくなった
・怪我や病気で働けなくなった。
・家族の介護などで働けなくなった
・賃金未払いや給料カットをされた。
・上司からパワハラを受けた
・長時間の残業が続いて心身が保たない

上に挙げた以外にも、「自分の夢を叶えるために」「職場の人間関係が嫌になって」など、ポジティブなものからネガティブなものまで、いろいろな理由が考えられます。

いずれの理由にせよ、実際に会社を辞めた後は「転職」や「独立開業」など、なんらかの方法で仕事(収入)を確保しなければいけません。

会社を辞めるときに「次のアテ」があれば良いですが、「勢い余って辞職したものの転職先が見つからない」ときにはどうすれば良いでしょうか?

今回は、そのような人にぜひ活用してほしい「失業保険」についてお話しします。ぜひ参考にしてください。

40代男性が会社を辞めて、失業保険をもらうためにすべきこと

一般に「失業保険」と言われているものは、平たく言うと「会社を辞めた後に国から支給されるお金」です。

もちろん国も「善意でお金をくれる」わけではありません。失業保険の財源は、労働者と会社が折半して支払う「雇用保険」から出ています

つまり、自分を含む全国の労働者と、自分の会社を含む全国の企業が支えている制度、というわけです。

ですから会社を辞める際、失業保険をもらうことに後ろめたさや引け目を感じる必要はありません。

ただし失業保険の制度は複雑です。「会社を辞める」という結果は一緒でも、その過程や理由によって、支給のタイミングや支給される金額も大きく変わります。

では少しでも早いタイミングで、少しでも多い金額をもらうにはどうすれば良いでしょうか?

細かい条件は次の項目で説明しますが、ここではまず、会社を辞める前にやっておいたほうが良いことを説明します。

1)辞めるタイミングの調整
2)辞める理由の証拠を作る
3)辞めた後の計画を立てる

それぞれ、順番に説明しましょう。

辞めるタイミングの調整

できるだけ良い条件で失業保険をもらうには、会社を辞めるタイミングが重要です。

どういうことかと言うと、失業保険でもらえる金額(基本手当日額)は、会社を辞める前6ヶ月間の賃金合計によって決まるからです。

具体的には、以下の手順で算出します。

①退職前の6ヶ月間に支給された給与・残業代・通勤手当などを合計する
(ボーナスは基本的に含まれません)
②それを180で割る
(これが「賃金日額」)
③賃金日額の額や年齢に応じて、賃金日額×45%~80%を計算する
(これが「基本手当日額」)

もし季節によって基本給与が変動する会社だったり、残業が集中する特定の月や季節があったりする職場なら、「退職前の6ヶ月間」の中に基本給与や残業代が多い月を含めるべきです

そうすれば多少なりとも、基本手当日額を引き上げることができるでしょう。

退職した理由の証拠を作る

後ほど説明しますが、失業保険をもらえるタイミングと日数は、会社を辞めた事情や理由によって大きく変わります。

ですから、「良い条件で失業保険をもらえる証拠」をあらかじめ作っておくことが非常に重要です。

たとえば以下のような資料です。

・会社が移転して通勤できない
→「会社からの移転の通知」「通勤時間を証明するもの(時刻表など)」など
・賃金未払いや給料カットがあった
→「給与明細」「預金通帳」「就業規則」「労働契約書」など
・上司からパワハラを受けた
→「労働契約書」「被害を記録したメモ」など
・長時間の残業が続いていた
→「タイムカード」「勤務時間を記録したメモ」「給与明細」「預金通帳」など

上に挙げた資料は、あくまで一例です。目的は「そういう事実があった」ことをハローワークで証明することなので、代りになる証拠があればそれでも構いません。

特に会社とトラブルを抱えている人であれば、こまめに手帳に記録を残したり、必要に応じて上司とのやりとりを録音したりするなどしておきましょう。

辞めた後の計画を立てる

会社を辞めたあと、どのようなタイミングでどんな転職活動をするかも重要です。

というのも、失業保険というのは基本的に「働く能力があり、実際に仕事を探している人が、再就職するまでの間に」もらえるものだからです。

つまり仕事を辞めたあと「就職活動を一切していない」人はもらえませんし、逆に「退職後すぐに再就職した」場合も受け取ることはできません

もちろん失業保険をもらうこと自体が目的となってはいけませんが、もし退職から再就職までに時間が開いてしまうなら、もらえるお金はしっかりもらっておくことをおすすめします。

ですから退職後にどのような再就職活動をするか、退職前にきちんと計画しておきましょう

失業保険をもらうための条件と手順について

ここからは、退職後に失業保険をもらうための条件と手順について説明します。まずは失業保険とはどういうものか、もう一度おさらいしておきましょう。

失業保険というのは、労働者や企業が支払った雇用保険を財源に、会社を退職した「働く能力のある人」が「再就職するまでの間」に国が支給するお金です。

ですから基本的な条件として、本人が働ける状態であること(病気や怪我で働けない状態になっていないこと)、再就職に向けた活動をしていることが必要と言えます。

先ほども説明した通り、再就職活動を一切していない人は受け取れませんし、退職後すぐに再就職した人(特に、退職時に再就職先が決まっていたような場合)も受け取れないのが原則です。

加えて、雇用保険料を十分に支払っていない人も失業保険の支給対象にはなりません。具体的には、原則として退職前の2年間の間に、雇用保険に入っていた(雇用保険料を支払っていた)期間が通算12ヶ月以上あることも必要です

これらの条件をクリアしたら、今度は退職の理由や事情に基づいて「いくらもらえるか」「いつからもらえるか」「いつまでもらえるか」が決定されます。

このうち「いくらもらえるか」つまり「基本手当日額」については、さきほど説明した通りです。

この項目では失業保険の申請手続きと合わせて、「いつかららえるか」「いつまでもらえるか」をお話しします。

原則として、失業保険の手続きは「ハローワーク」で行います。ですから会社を辞めたら、まずはハローワークに向かいましょう。

このとき、退職時に会社が発行してくれる「離職票」(2枚)をはじめ、マイナンバーカードや本人確認書類、写真、通帳、印鑑などを持参して「求職の申込み」を行います。

その後受給資格が決定されますが、すぐに失業保険がもらえるわけではありません。失業の理由にかかわらず手続きの日から7日間は「待機期間」となり、次にハローワークに来所(雇用保険説明会)する日時を指定されます。

7日の待機期間が終了し、雇用保険説明会に参加すると、退職の理由・原因によってはすぐに失業保険の受給が始まります。といっても毎日支給されるわけではなく、4週間に1回の「失業認定日」の後(通常は5営業日後)に4週間分がまとめて振り込まれます。

ところで「退職の理由・原因によってはすぐに失業保険の受給が始まります」と書きましたが、通常は支給開始までもう少し時間がかかります

それが「自己都合退職(一般離職者)」です。自己都合退職と判断されると、失業保険が支給されるのは7日の待機期間が終了した後、さらに3ヶ月後になります(この期間のことを「給付制限期間」といいます)。

3ヶ月間というのは、かなり長い期間です。

しかもこの期間に一定以上の継続的なアルバイトをすると「再就職」とみなされるため、給付制限期間の後に失業保険をもらおうと思うなら、少なくとも3ヶ月間は生活を支える蓄えがないと厳しいでしょう。

一方、「会社都合退職(特定受給資格者)」や「特定理由離職者(本人や家庭の事情、雇い止めなどで失業した人)」などの認定を受けた場合は、7日間の待機期間後すぐに受給がはじまります。

自己都合や会社都合かの違いは、失業保険を受給できる期間、つまり「いつまでもらえるか」にも大きく影響します

40代で退職した人のケースで説明しましょう。

【自己都合退職の場合】※雇用保険の加入年数に応じて以下の通り
・1年以上10年未満の場合は90日(基本手当日額×90日)
・10年以上20年未満の場合は120日
・20年以上の場合は150日
【会社都合退職の場合】
・1年未満(過去1年間に6ヶ月以上加入)の場合は90日
・1年以上5年未満の場合は90日
・5年以上10年未満の場合は180日
・10年以上20年未満の場合は240日
・20年以上の場合は270日

自己都合に比べて会社都合がどれほど有利か、理解していただけるでしょうか?単純に日数が多いだけでなく、6ヶ月~という短い加入期間で支給対象となるうえ、加入年数の判定も細かくなっています。

ですから失業保険の手続きをする際は、できるだけ「会社都合」にすることがおすすめです。

ところが会社が発行する離職票には、退職の理由について「自己都合」と書かれることが一般的です(普通は会社の方から「自分に原因がある」とは認めたがりません)。

そこで必要なのが、先ほど説明した「退職した理由の証拠」です。会社発行の離職票になんと書いてあっても、最終的な判断をするのはハローワークです。

繰り返しになりますが、自分にとって有利な退職理由、つまり「会社都合」の退職と認定してもらうためにもしっかり証拠集めをしておいてください

失業保険を検討する際に覚えておいてほしいこと

ここまでで、失業保険の制度と申請の条件・手順をお話ししました。会社を退職する人にとって失業保険は、積極的に活用すべき正当な権利と言えます。

ただし、絶対に忘れてはいけない注意点もあります。

それは「失業保険のお金が目的になってはいけない」ということです。

失業保険というのはあくまで、就職する意志と能力のある人が再就職するまでのサポートに過ぎません。

しかも「90日」などの受給期間が終了したら、再就職が決まっていなくても、原則としてそれ以上お金はもらえません。

ですから失業保険の受給期間中は、主にハローワークを通してしっかりと就職活動をしましょう。もちろん、「指定された日にハローワークに行く」などのルールも厳守する必要があります。

もし給付制限期間や受給期間中にアルバイトなどをしたなら、たとえ1日であっても正直に申告が必要です。

このように、失業保険は有意義な制度である反面、人によってはかなり窮屈に感じるほど制限のある制度と言えるでしょう。

本当に大事なことは、わずか数十日のお金を手に入れるより、その後の人生を支える仕事を確保することです

ちなみに、会社を退職する人の中には「転職(再就職)」ではなく「独立開業」を選ぶ人もいます。

退職時に最初から独立開業を目指すなら、それは再就職の活動とは言えません。つまり失業保険の対象ではないということになります。

ですから、本気で起業したいなら失業保険にこだわらず、少しでも早く独立開業することをおすすめします。

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一方、当初は失業保険をもらいながら転職活動していたものの、どうしても自分に合った会社が見つからないために方針転換する(独立開業を目指す)ケースもあると思います。もちろん、それはそれで問題ありません。

転職と独立開業のどちらに進むにしても、本来の目的は見失わないようにしましょう。そしてその間に、条件が整っているなら失業保険を利用するというスタンスが正解と言えるでしょう。