独立開業について詳しく知っておくべきこと

40代の男性が会社を退職し「個人事業主として独立開業をする」場合には、いったいどのような準備が必要でしょうか。

もちろん運用資金を準備することはもちろんですが、他にも詳しく知っておくべきことを考えて行きたいと思います。
これらの知識は会社を退職する前から準備をすることが可能です。最低限知っておくべき事柄として「融資」「屋号」「税金」「経理」「節税」「助成金」について今回は考えていきます。

 

開業資金はどこから借り入れる?

「さあ、開業だ」といっても先立つ資金がなければ何もできません。まだ実績もない起業したばかりのころは、銀行から融資を受けるのは非常に厳しいという現実があります。そんな場合に利用できる制度はないものでしょうか。ここでは、日本政策金融公庫のシステムと地方自治体による融資制度を検討してみましょう。

これらの制度は銀行で融資を受けるものとは違い、一定の条件を満たしていれば融資をしてもらえる可能性があります。

<日本政策金融公庫>

「日本政策金融公庫」(https://www.jfc.go.jp/)は、日本政府の金融機関であり創業融資制度があります。日本政策金融公庫の融資制度の1つに「新規開業資金」というものがあり、支店などで相談することが出来ます。これを利用するメリットとしては

①金利が固定である
②長期間の融資が受けられる
③保証料がいらない
④審査の基準が銀行等と異なる

この4点です。事業開始から7年以内であれば相談に応じてもらえますので、検討してみるのも良いでしょう。

<自治体の制度融資>

制度融資とは中小企業の資金調達を支援するため、地方の自治体が金融機関などと連携してつくられた制度で、起業したばかりの会社であっても融資を受けやすい仕組みになっています。

ただし、自治体により融資の条件などが異なります。また会社の所在地の自治体の制度しか利用することができません。日本政策金融公庫の制度とは異なり、代表者が連帯保証人にならなければならないケースが多いです。

手続きはやや煩雑になりますが、比較的融資が受けやすく、金利が安いことから利用を検討する価値はありそうです。

これらの2つの制度は他の融資制度に比べ、比較的融資を受けやすいものになっています。この2つで融資を受けることが出来ない場合は、他の融資制度では条件をクリアできないことが多いため、この2つの制度で融資を受けられない場合には開業の方法を考え直す必要があるかもしれません。

開業資金で融資を受ける場合は、しっかりと自身で調べてから相談に乗ってもらうようにしましょう。

屋号の決め方

独立開業をするときに、最初に決めなければいけないのが屋号です。個人事業主で開業する場合にはつけなくてもいいのですが、多くの人に覚えてもらうようにするため屋号を使うといいこともあります。まず屋号の考え方をみていきましょう。

法人の場合には会社名と代表者が別の名称になります。個人事業主でも考え方は一緒で、店舗を開店させるのであればお店の名前が屋号になります。これは一旦決めると変更するのが大変ですので慎重に決めることが必要です。

屋号には、漢字・ひらがな・カタカナ・数字・アルファベットなど何を使ってもいいのですが、誰からも覚えてもらえるものにした方がいいかもしれません。あまり複雑なものにしてしまうとインパクトはありますが実用的ではないかもしれません。

最近ではインターネットやSNSなどで検索してもらえるようにするのも重要な検討項目です。検索されることを考えて屋号を決めた方が売上を伸ばすことが出来る可能性があります。

屋号を決める際に気をつけなければいけない点がいくつかあります。まず、商標登録されている名称を使わない方がいいでしょう。商標登録させている名称を屋号で使用した場合には、紛らわしいという理由で差し止め請求を受ける可能性もあります。思いついた良い屋号があったらインターネットで検索してみるのがいいでしょう。

独立開業をする場合には税務署に開業届を出す必要がありますので、それまでにゆっくり考えましょう。決まった屋号は、銀行口座にも使えるようになります。個人事業主の場合は無理に口座名を屋号のものにする必要はありませんが、事務用の口座が必要な場合には屋号にしておくと便利かもしれません。

個人事業の経理業務

独立開業をした場合には、経理業務を必ず行う必要があります。会社員として働いていた場合には経理担当者がいて給与計算や労務手続き、税金などの申請を代表してやってくれていたと思いますが、個人事業の場合は自ら経理業務を行う必要があります。

まずは基本的な個人事業主の税金について考えてみましょう。税金の種類についてご紹介します。個人事業主として独立開業をした場合には、国に支払う税金が4種類あります。

<① 所得税>

1年間で稼いだ利益に対してかかる税金です。個人事業主の税金の種類でもメインとなるものです。所得が多ければ多いほど税金が高くなる「累進課税」という仕組みになっています。確定申告を行った後、3月に納付を行います。課税所得額=売上-経費-排除額で計算されます。

<② 住民税>

会社員時代も同様に支払っていた税金です。特に個人事業主だからといって高くなることはありません。確定申告をすれば計算され納付書が送られてきます。会社員時代は毎月給与から天引きされて支払いを行っていましたが、個人事業主は自身で支払う必要があり、その回数は3ケ月に1回の年4回となります

<③ 個人事業税>

個人事業について課される税金です。確定申告をすれば計算され納付書が送られてきます。事業所得が290万円までの場合は支払う必要がありません。納付は年2回です。

<④ 消費税>

ほぼ全ての取引に対して課される税金です。基準期間の売上高1,000万円までの個人事業主と法人については消費税を納付しなくてもいい制度があり、これを「小規模事業者の納税免除」といいます。また開業から2年間は消費税が免除されます。納付は3月に行います。

これらの税金をしっかりと納付するためには、「青色確定申告」をする必要があります。

「白色確定申告」というものもあるのですが、メリットがあまりないためにほとんどの個人事業主が青色確定申告をすることになるでしょう。
青色確定申告をする場合には、開業してから2ケ月以内に申請を行う必要があります。青色確定申告をすると「青色申告特別排除」することができるため、65万円の排除を受けることが出来ます。個人事業主にとっては65万円の排除は非常に大きなメリットです。

青色確定申告を行うには複式簿記による帳簿つけを行う必要があります。

総務や経理を会社員時代に経験していた人であればすぐにイメージできると思いますが、全くの未経験の人は少し難しく感じるかもしれません。
複式簿記は、例えば以下のように複数の科目で帳簿をつける方法のことです。

4月1日 水道代 5,000円 / 現金 5,000円
(4月1日に水道代5,000円を現金で支払った)

4月10日 現金10,000円 / 商品A売上 10,000円
(4月10日に商品Aが売れて現金10,000円いただいた)

「借方」と「貸方」を左右に分け、勘定科目などを使用して帳簿に記載していきます。これにより財政がどのように変化をしたのかを表していきます。こういった1つ1つの取引を記載しておき、最終的には「貸借対照表」「損益計算書」を作成することになります。

最近では会計ソフトで簡易的に帳簿をつけることができるようになりましたが、全く意味がわからない人は、会計事務所などに相談し経理業務の基本知識を覚える必要があるでしょう。

節税のコツ

節税をすることは、利益を出すのと同じ意味があります。個人事業主が安定した経営を行うには節税対策は必須といえるでしょう。それでは効果的な節税とは具体的にどんなものがあるのでしょうか。

基本的には、青色確定申告をすることが最も重要な節税になるといえるでしょう。青色確定申告は65万円の特別排除を受けることが出来ます。また、「純損失の繰り越し排除」も認められます。これは、赤字の年から3年の間に儲けが出た場合に確定申告で黒字の所得から過去の赤字分を差し引くことができるのです。

さらには、同一の財布で生活している家族を「青色事業専従者」として届け出ることで給与を経費につけることが出来ますし、30万円未満の仕事で使う固定資産を一度に経費計上することができます。青色確定申告をすることは、メリットが多く節税するには必須です。

他に一般的な節税は「経費をしっかりと計上すること」です。事業に関連したものを経費として計上することは節税につながります。個人事業主では、最初のうちは事務所などを持てずに自宅で業務を行うこともあるでしょう。その場合に家賃・電気代・通信費などを按分した金額を経費として計上することができます。

他にも、自動車・燃料費・保険料なども事業で使用する割合に応じて必要経費にすることができるのです。「どんなものが経費になるか」を知ることが節税につながるのです。

助成金って何でしょうか?

政府が産業活性化のために様々な支援を会社に対して行っています。その支援の1つとして助成金制度があります。

個人事業主にとって助成金は非常に大きい助けになるでしょう。まずは「助成金」のことを知ることから始めましょう。「助成金」とは要件を満たした企業に支給されるもので基本的には返済の義務がありません。自己資金として組み込むことができるため、活用しない手はありません。自己資金に組み込むことが出来るということは、他の融資を受けられやすくする効果があります。また、助成金を受け取れるというのは政府や自治体から「見込みのある事業」として認められたということになります。

こういったことは事業を行う上では非常に大きい信頼効果を得られることになります。

申請から交付までの流れを見ていきましょう。

まずは、個人事業主が自分の会社に合う助成金の制度についてしっかりと認識することから始まります。様々な種類がある助成金を調べるには

J-Net21(http://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support)

ミラサポ(https://map.mirasapo.jp/)

などを使うと便利でしょう。

個人事業主が申請できる条件の助成金を見つけたら必要な書類を集めます。申請の後に、審査委員会の審査があります。採用が決定したら提出した書類に基づいた事業を展開し、交付申請を行うというのが一般的な流れになります。申請にはやや時間はかかりますが、自身にあった助成金を受けることが出来れば非常に大きいメリットです。

ぜひ、検討してみましょう。

独立開業の仕組みについて

会社員を退職する前に、ぜひ「事業計画書」を作ってみましょう。

事業計画書とは、自身の起業する構想を具体的に実施するための計画書です。頭の中にはしっかりとした構想があると思いますが、起業を行うにあたっては自分以外に自身の構想を説明しなければならない機会があります。そのための準備として、まず始めは簡単なものでいいと思いますが書面に落とし込んでみましょう。

そうした作業の中で、自身の計画を客観的に見つめ直すことが出来ます。そこで納得ができれば、行動に踏み切りましょう。

さて、ここまで個人事業主として独立開業するまでに知っておきたいことについて考えてきました。最後にまとめてみたいと思います。

<個人事業主として知っておきたいこと>

・資金を集めるのは銀行の融資以外にも日本政策金融公庫のシステムと地方自治体による融資制度を検討する
・将来的な視点で屋号を決定する
・個人事業主として支払う税金について知る必要がある
・青色確定申告を行うとメリットが多い
・青色確定申告の記帳には複式簿記を勉強しておくと良い
・節税の基本は経費についてしっかりと知ること
・助成金について詳しく調べた方が良い

以上の項目を全て確認、知ることができたらあとは開業届を税務署に申請に行きましょう。独立開業するのは実際には誰でも簡単にできます。

しかし現実的には長期的な利益の捻出をし続けるというのはなかなか大変です。もし、個人事業主として独立開業したいが分野などで迷っている場合は四十路の転職ネットがおすすめする「新しい仕事の仕組み」もぜひご覧になってください。

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