独立開業のメリット、デメリットとは?

会社の待遇に不満や不安を感じている人、あるいは職場の人間関係や先の見えない長時間労働に苦しんでいる人にとって、根本的に問題を解決する方法のひとつは「その会社を出ること」です。

とはいえ一般論として、勤務年数にかかわらず会社員が会社を辞めるのは、非常に大きな決断となります。ましてや「転職」ではなく「独立開業」ともなると、プレッシャーは並大抵ではありません。

心配性の人はもちろん比較的楽天的な人でさえ、思わず「デメリットはないか?」と考えてしまいますし、社会的な責任、特に家族に対する責任が大きい40代の男性なら、なおのことそう言えます。

もちろん独立開業にはメリットもありますし、デメリットもあります。少しで今の環境を良くしたいなら「独立開業のメリット」に目をつぶるべきではありませんし、少しでも独立開業を成功させたいなら「デメリット」もしっかり見つめないといけません。

今回は独立開業という選択肢にスポットライトを当てて、メリットとデメリットを中心に「賢い独立開業」について説明していきます。

独立開業っていったいどうすればいい?

独立開業のメリット・デメリットについて考える前に、まずは独立開業とはどういうものか、独立開業するにはどうしたら良いかをお話しします。

「独立開業」と聞いて多くの人がイメージするのは、おそらく「自分で事業を立ち上げること」「自分の会社を作ること」ではないでしょうか?

独立、開業、起業など呼び方はいろいろですが、基本的にはどれも、自分で新しくビジネスを始めることと考えて間違いありません(ただし「独立開業」の場合、他の会社などに所属している人が、そこを辞めて新しくビジネスを始めるニュアンスがあります)。

独立開業をする人のパターンは、大きく分けて2つです。

ひとつは「自分の会社や店を持つのが夢だった」という人が、その夢を叶えるパターン。そしてもうひとつは、「所属していた会社に不満を感じて辞めた」あるいは「会社の倒産や解雇などで職を失った」という人が、必要に迫られて行うパターンです。

もちろん前者のパターンでも後者のパターンでも、独立開業ならではのメリットやデメリットがあることに変わりはありません。

また一般的に、開業した事業者が1年後に廃業している確率は40%で、90%以上が10年以内に廃業するとも言われています。この廃業する事業者の中には、当然ながら前者のパターンも後者のパターンも含まれています。

結局のところ、大事なことは独立開業の「動機」ではなく、どんなビジネスで開業するかの「選択」や開業に向けた「準備」ということです。

もしあなたが(理由はどうあれ)独立開業を考えているなら、まずは「自分にはどんなビジネスが向いているか?」をしっかり考えてください。

消費者相手のビジネス(BtoC)なのか、事業者向けのビジネス(BtoB)なのか。
実店舗を構えて直接取引をするのか、インターネットで仮想取引を行うのか。
経験のある業種を選ぶのか、未知の業種に飛び込むのか。

選べる選択肢はさまざまですが「どれが正解で、どれが不正解」ということはありません。ただし人によって、環境によってそれぞれ難易度が変わります。

たとえば元の会社で技術を身に付けた人が同じ分野で独立開業するのは、「技術的には」成功率が高そうです。ただ元の会社が業界内で圧倒的な力を持っている場合、新しい会社でそこに参入するのは「営業的には」厳しそうです。

また、コミュニケーション能力が高く営業が得意な人が未知の分野に挑む場合、たとえ「お客さん」は開拓できても、満足のいくサービスの提供は難しいかもしれません。

いずれにしても、独立開業ですべてが上手くいくことはまれです。できるだけうまく行きそうな事業を選ぶことも重要ですが、たとえ厳しいことや難しいことに直面しても、時間と努力で乗り越えていく覚悟も必要でしょう。

それともうひとつ。どんなに自分に合った独立開業でも、いきなり利益が出てビジネスが安定することはほとんどありません。ですから開業後半年、あるいは1年程度は生活できるだけの「十分な資金」も用意しておきましょう。

生活費の心配をしながらビジネスをするのと、余計な心配をせずにビジネスに集中できるのとでは、成功率も大きく変わってきます。

独立開業のメリット

いよいよ、独立開業のメリットについて考えてみましょう。

独立開業には2通りの動機があることは、先ほどお話ししました。そして独立開業のメリットとは、まさに「その動機を実現できること」です。

夢を持って開業した人なら「自分の理想のビジネスができる」ことが最大のメリットですし、働き方に不満がある、人間関係に不満がある、給料に不満があるといった人も、独立開業すれば「自分の思う通りの働き方や職場環境が作れる」可能性があります。

会社の方針や上司のやりかたに縛られず、仕事の内容を自由に決めたり、仕事をする時間や働き方を自由に組み立てられるというのは、ある意味「誰しもあこがれる」のではないでしょうか。

またお客さんを相手に商売をするなら、相手から感謝されたり相手の役に立っていると実感するとき、「雇われていたとき」以上に充実感や達成感を感じることでしょう。

ではもう少し具体的に、「仕事」「気持ち」「ライフスタイル」「お金」の4つに分けて説明します。

1)仕事に関するメリット

独立開業することによって、おそらく一番大きな影響を受けるのが「仕事」そのものです。実際に開業した人たちに尋ねてみると、

・自己裁量の幅が増える
・他人に邪魔されずに仕事ができる
・仕事の成果や評価を実感できる
・仕事の幅が増える
・仕事を通して人脈が増える

といった変化を「メリット」ととらえて満足している人が過半数に上ります。

「会社」や「上司」が間に入らないぶん、仕事の進め方やクライアント(客)との距離がよりダイレクトに感じられますし、自分に落ち度がないのに謝罪させられるような会社員ならではの理不尽な思いをすることもありません。

2)気持ちに関するメリット

独立開業することによって「気持ち」が変化したことに、大きなメリットを感じる人もいます。代表的な気持ちの変化には、以下のようなものがあります。

・仕事にやりがいを感じられるようになった
・仕事に手応えを感じられるようになった
・毎日が充実している
・ストレスが減った
・家族に愚痴をこぼすことが減った

独立開業を目指す人の中には、会社員時代に「もっと自分の自由になる仕事をしたい」「気持ちにゆとりがほしい」「職場の雰囲気や同僚・上司との人間関係に疲れた」といった願望を持っている人が大勢います。

そのような人にとっては、こうした気持ちの変化は特に大きなメリットと感じられることでしょう。

3)ライフスタイルに関するメリット

内面的な気持ちだけでなく、表面に表れる「ライフスタイル」の変化も、独立開業に伴うメリットのひとつです。具体的には以下のような変化が挙げられます。

・家族と過ごす時間が増えた
・外で飲み歩く時間が減った
・オフの時間(終業後や休日)を有意義に使える
・早寝早起きになった
・健康的な生活になった

全体としては、会社優先から家族優先・プライベート優先に、夜型の生活から朝方の生活に、不健康な生活から健康的な生活に、などの変化を実感している人が多いようです。

会社員が独立開業すると一般に収入が減ることも多いのですが、外で飲み歩く時間が減ることで無駄遣いが減り、結果として貯金が増えたというケースもあります。

4)お金に関するメリット

独立開業に伴う「お金」の変化は、どちらかというとメリットよりデメリットの方が強調されがちです。特に新しい仕事が安定しない開業後1年~2年は、お金できつい思いをする人も少なくありません。

それでも事前にしっかりとした計画を立て、初期投資を抑えることでビジネスを早い段階で軌道に乗せている人も大勢います。

それにいったん安定すれば、ビジネスの成長がダイレクトに収入に結びつくのも独立開業のメリットです。

実際、独立開業に成功することで会社員時代には考えられなかった「年収1,000万円以上」を達成した人も一定数存在します。

ですから「独立開業=収入低下」と決めつけるのは間違いと言えるでしょう。

独立開業のデメリット

さて、今度は独立開業のデメリットについてお話しします。

独立開業にあこがれている人、これから独立開業を目指す人にとってはあまり聞きたくない話かもしれませんが、とても大事なことなのでぜひしっかり覚えてください。

先ほど独立開業のメリットについて、「自分の理想のビジネスができる」ことや「仕事の内容を自由に決めたり、仕事をする時間や働き方を自由に組み立てられる」、「お客さんの反応をダイレクトに感じられる」と言いました。

こうしたメリットは、実はデメリットと紙一重なのです。

「自分の理想のビジネス」「仕事内容や働き方を自由に決められる」ということは「他の人に頼れない」とも言えますし、お客さんのダイレクトな反応は、なにも良い反応ばかりではありません。

たしかに会社員は「会社や上司に縛られて」いますが、これは裏返すと「会社や上司がクッションになっている」ということです。

独立開業することで会社や上司というクッションが消えると、「ビジネスの厳しさ」「経営者の孤独」を味わう機会も増えるでしょう。独立開業を目指す人は、そうした覚悟が必要です。

では、もう少し具体的なデメリットについて、先ほどと同じように「仕事」「気持ち」「ライフスタイル」「お金」の4つに分けて見ていきましょう。

1)仕事に関するデメリット

「仕事」そのものに関するデメリットで代表的なのは、「すべて自分の責任でやらないといけない」というものです。

お気づきかもしれませんが、これは「裁量の幅が増えたというメリット」と表裏一体になっています。ほかにも、

・仕事に孤独を感じる(デメリット)←→他人に邪魔されずに仕事ができる(メリット)
・やることが増えた(デメリット)←→仕事の幅が増える(メリット)

なども同じです。

つまり人によってはメリットになっていることが、別の人にとってはデメリットに感じられるのです。

2)気持ちに関するデメリット

デメリットとしてよく挙げられるのは「気持ち」に関することです。特に、会社組織から出ることに対し、いろいろな「不安」を感じる人が大勢います。

具体的には以下のようなものがあります。

・収入が減ることが不安
・生活していけるか不安
・仕事が軌道に乗るか不安
・家族に理解してもらえるか不安
・組織の肩書がなくなるのが不安

こうした不安は、主に独立開業前に感じることが多いものです。そして実際に独立開業した後は、毎日が必死で不安を感じている余裕などないことが普通です。

不安を感じるのは仕方ありませんが、あまり気にしすぎることはないでしょう。

3)ライフスタイルに関するデメリット

「ライフスタイル」については、あまりデメリットを感じている人はいません。

強いて言えば、特に独立開業直後は収入が大きく減ることが多いため「自由に使えるお金が減った」とか、「家族以外との付き合いが減った」といったところです。

4)お金に関するデメリット

独立開業に伴う最大のデメリットは、なんといっても「お金」に関するものです。先ほどの「気持ち」や「ライフスタイル」に関するデメリットも、辿っていけばすべて「お金」が原因です。

独立開業直後から事業が軌道に乗るまでの間は、どうしても会社員時代と比べて収入が大きく減ってしまいます。ですから「収入が少ない」「生活がきつい」といったデメリットを肌で実感している人もたくさんいます。

ただ、苦しい時期はあくまで一時的なものです。それに独立開業前の計画や準備次第では、お金のデメリットをギリギリまで抑えることも可能です。

もし「ビジネスを軌道に乗せるまでなんとか耐えきるだけの資金」を用意することができれば、こうした不安を感じることはないかもしれません。

あるいは、「最初からいきなり軌道に乗せやすいビジネス」を選ぶという手もあります。

その代表格がフランチャイズです。コンビニやお弁当チェーンなどをイメージすると良いでしょう。

全国レベルで展開しているフランチャイズならビジネスモデルは完成されていますし、初心者向けのマニュアルもあります。またこちらのように、本部が営業活動を代行してくれるフランチャイズもあります。

「自分の看板」にこだわらなければ、フランチャイズは非常にメリットの大きい独立開業のスタイルと言えるでしょう。

今回は独立開業のメリット・デメリットについてお話ししました。しっかり準備さえすれば、独立開業はメリットの大きいビジネススタイルです。

自分の理想を叶えるため、あるいは会社への不満で押しつぶされてしまわないうちに、ぜひ新しい生き方に挑戦してみてください。