独立開業に必要な資金や資格について

今の会社を辞めて独立しよう!

…そう決心したからといって、何も考えずに勢いで辞職届を出してしまうのは禁物です。独立開業を成功させるには、実際に行動を移す前の準備が肝心です。

なかでも特に重要な準備は、「資金」や「資格」でしょう。

どんなビジネスを始めるにも資金がいりますし、事業が軌道に乗って収入が安定するまでの生活資金も確保しておく必要があります。

またビジネスの内容によっては、経験やノウハウだけでなく、一定の資格や許認可が必要になることもあります。

つまり資金や資格は、そもそも「独立開業できるかどうか?」「どんなビジネスを始められるか」を大きく左右するものなのです。

というわけで、今回のテーマは資金と資格です。特に、

・独立開業にはどれくらいの資金が必要なのか?
・独立開業に有利な資格にはどんなものがあるか?
・資金や資格以外で独立開業に必要な要素はあるか?

といった質問を中心にお話ししていきます。どうぞ最後までしっかりお付き合いください。

独立開業のために初期投資はどれくらい必要か?

どんな業種で、あるいはどんな規模で独立開業するにしても、絶対に避けて通れないのが「資金」の確保です。

そして独立開業に失敗してしまう人のほとんどすべてに共通するのも、「資金」に関する以下のようなトラブルです。

・資金が足りずに事業を開始できなかった
・生活資金のことを考えていなかった
・あっという間に資金が底をついてしまった

単純に貯金を失うだけならまだしも、膨大な借金を抱えてしまうケースも少なくありません。

こうしたトラブルの多くは、実は事前の準備で回避できるものです。自分がやろうとしているビジネスを冷静に分析して、「いくら必要なのか」「どうやって工面するのか」を緻密に計算しておけば、よほど突発的なトラブルでもない限り失敗はありません。

では独立開業のための資金とは、いったいどれくらい必要なのでしょうか?

ひとくちに「資金」といっても、内容はいろいろあります。

たとえば開業そのものにかかる資金(開業資金)もあれば、開業後にビジネスを動かしていく資金(運転資金)もあります。

また条件の良い融資などを引き出すために、開業資金や運転資金とは別に多少の余裕(予備資金)も確保しておきたいところです。

もちろん、当面の生活費(生活資金)も必要です。大抵の場合、独立開業からビジネスが軌道に乗るまで(収入が安定するまで)には半年以上かかります。

「開業資金」「運転資金」「予備資金」「生活資金」の具体的な金額は、それぞれのビジネスや営業形態、生活スタイルや家族の有無によって大きく変わります。ですから「○○円」というふうに限定はできません。

今回の記事では「検討するためのヒント」をお伝えしますので、これから開業しようと考えている方は、それを参考に必要な金額を書き出してみてください。

1)開業資金について

開業資金の主な使いみちは、

・事務所や店舗の取得費用
・改装などにかかる費用
・必要な設備を導入する費用
・備品を購入する費用
・広告宣伝費用
・商品や材料の仕入れ費用

などです。また独立開業に「フランチャイズ」を利用する場合は、フランチャイズ加盟料などが発生する場合もあります。

これらの中で、特に大きい出費となるのは「事務所や店舗の取得費用」です。

もちろん自宅で開業する場合やインターネットを使った無店舗型のビジネスなら「ほとんど0円」もありえますが、ビジネスの種類によっては事務所や店舗がどうしても必要になります。

その場合は、物件の家賃に加えて不動産会社に払う仲介手数料、保証金などが必要です。ちなみにビジネス向けの物件は個人の住居用と違い、一般的に半年分やそれ以上の保証金を要求されることが少なくありません。

ですから事務所や店舗を取得する場合は、十分な費用を用意するのはもちろん、どんな物件をどこに確保するかを慎重に検討して、無駄な出費を抑えることが肝心です。

また無店舗型のビジネスや自宅を事務所にする場合でも、「設備」や「備品」は必要です。

例えば「電話」や「パソコン」は、どのようなビジネスにもほぼ必須の設備と言って良いでしょう。場合によっては「FAX」や「プリンター」「コピー機」なども必要かもしれません。

単品では数万円~十数万円程度の出費でも、一式揃えるにはまとまった金額が必要です。いざ開業、というときに慌てないためにも、細かい設備や備品までしっかり検討することが肝心です。

2)運転資金について

運転資金というのは、原則として売り上げにかかわらず毎月発生する固定費です。代表的なものは、「人件費」や「家賃」でしょう。開業資金を銀行などから借り入れる場合は、「毎月の返済や利子」も運転資金に含まれます。

実は資金にまつわる「ミス」の中でも、特に多いのがこの運転資金なのです。

ビジネスが軌道に乗るまでの半年~1年程度の間、運転資金は主に「開業時点に用意している資金」に頼ることが多いのですが、この見立てが甘いとあっという間に運転資金不足になり、せっかく始めたビジネスをたたむことになります。

特に「人を使うビジネス」「店舗や事務所を構えるビジネス」は要注意です。

3)予備資金について

予備資金というのは、当面必要な開業資金や運転資金以外の資金です。

ギリギリの資金で開業しようとする人にとっては「予備資金なんて用意する余裕はない」というのが現実でしょう。

ただ銀行などから開業資金の融資を受ける場合、手元の資金(自己資金)に余裕があるほど「融資額」や「利率」などの条件を有利にできます。

お金を借りるためにお金が必要というのも妙な話ですが、独立開業を可能な限り成功させるためにも自己資金は多く用意するようにしましょう。

4)生活資金について

独立開業する人の中には、自分の生活費を削って運転資金などに充てる人がいます。ですが、そのようなビジネスは長続きしません。家族を扶養している人ならなおさらです。

生活を良くしたいと願って独立開業したのに、かえって生活の質を落としたのでは意味がありません。

独立開業をするなら、少なくともビジネスが軌道に乗るまでの半年程度は自分と家族を支えるだけの資金を確保しておくことをお勧めします。

独立開業のために資格は必要か?

一般的に、独立開業するにはある程度の経験やノウハウが必要です。たとえばラーメン屋さんを始めたいなら「ラーメンを作る」技術が必要ですし、アプリ制作ビジネスをしたいならプログラミングやデザインの知識が必要です。

またビジネスの種類によっては、技術や知識だけではなく、公的な「資格」が必要なものもあります。

資格が必要ということは、「誰でもできるわけではない」ということです。他の業種に比べてライバルが少なめなので、成功の確率はぐっと上がるでしょう。

そのようなわけで、ここでは独立開業に有利な資格について考えたいと思います。

まず、資格にもいろいろな種類があります。なかでも国家資格や公的資格、民間資格といった区別はしっかり意識しておきましょう。

独立開業で必要になる資格は、このうち国家資格や公的資格です。

公的資格で最も有名なのは、「医師」や「弁護士」の資格でしょう。どちらも難関の国家試験を突破して、一定の研修を受けなければ手にできません。

また弁護士ほどの難関ではないにせよ、「公認会計士」「税理士」「司法書士」「社会保険労務士」「行政書士」など、いわゆる士業と呼ばれる仕事をするには国家資格が必要です。

医療や治療にかかわる業種では、医師のほかに「薬剤師」「介護福祉士」「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」「柔道整復師」などがあります。これらも一定の学習をした上で、国家試験に合格しなければなれません。

ただし上に挙げた仕事に似ていても、中には国家資格や学歴・研修歴が必要ないものもあります。

たとえば「中小企業診断士」や「ファイナンシャルプランナー」などは、主に企業や個人向けのコンサルティングを行う仕事です。

どちらも国家資格ですが、コンサルティング業務に必須ではありません。「中小企業診断士」と名乗るには国家資格が必要ですが、名乗らずに同じ仕事をするだけなら特に資格がなくても大丈夫です(ただし高度な知識や実績は必要です)。

また「足つぼマッサージ」や「アロマテラピー」なども、資格は必要ありません。「○○式」といった特定の看板を掲げる際は、その団体が認定する資格が必要な場合もありますが、これはどちらかというと「フランチャイズ加盟料」に近いでしょう。

その他に資格が必要なビジネスとしては、建築・工事関係があります。ただしこれらの仕事では「経験」や「実績」が重視されるので、国家資格を持っていなくても、一定の学歴と数年間の実務経験で代替できる場合もあります。

一方で、いわゆる「資格ビジネス」や「協会ビジネス」といったものには注意が必要です。

世の中には「独自の民間資格や研修」を受けることで独立開業できると宣伝する団体もあります。そうした団体の多くは、まるで公的団体のような名前を名乗り、国家資格のような名前の試験を高額で受験させるのが特徴です。

もちろん「知識」として、研修を受けたり民間資格を受けたりするのは構いません。ただし、必要でもない研修や資格にお金や時間を使うことで、本当に必要な独立開業の準備ができなくなるなら本末転倒です。

独立開業のために資格を取ろうと考えているなら、それが本当に必要な資格なのか、ほかに優先すべきことはないのかをしっかり考えるようにしましょう。

独立開業を成功させる秘訣

ここまでで、独立開業に必要な資金や資格の話をしてきました。ここからはいよいよ、独立開業を成功させる秘訣について考えたいと思います。

現実問題として、独立開業前に豊富な資金を準備していても、あるいは弁護士などの立派な資格を取得していても、ビジネスに失敗する人は存在します。

資金や資格というのは、あくまで「スタートを切るための前提」に過ぎません。

独立開業後1年以内に廃業する人は全体の40%と言われます。10年後には90%以上の人が消えています。

開業当初の資金や資格に頼りすぎると、こういう結果になるのです。

では、ビジネスを長続きさせるためには何が必要なのでしょうか?1年、5年、10年とビジネスを続けている人たちには、何か共通するものがあるのでしょうか?

独立開業を成功させる秘訣。…それは、「本当に自分に合ったビジネスをする」ということです。一見あたりまえに思えますが、この部分がおろそかになっている人は意外と多いものです。

たとえば豊富な資金を用意できたり難関資格を手にしたりすると、「せっかくだから」という理由で、本当はやりたくもないビジネスを勢いで始めてしまうものです。

たとえると、本当は料理人になりたい人が、たまたま司法試験に受かったために弁護士になるようなものです。

このような独立開業のほとんどは、長続きしません。

ですから「自分の興味があること」もしくは「能力が向いていること」を冷静に分析して、本当に自分に合ったビジネスを選ぶことが肝心と言えるでしょう。

「苦手なことにも逃げずに取り組む」「頑張って克服する」ことが重要なのは、主に学生や新人の場合です。

独立開業しようという段階では、「苦手なことはできるだけ避ける」「頑張らない道を探す」ようにしましょう。

限られた時間や資金、能力をどれだけ効率的に使えるかが、独立開業を成功させ長続きさせるための秘訣です。

なお、あえて「自分の看板」にこだわらないならフランチャイズもおすすめです。

コンビニやお弁当チェーンのように全国区のフランチャイズなら、すでに膨大なビジネスノウハウが蓄積されていて、しかもマニュアル化されています。

また取り扱う商品やサービスも洗練されていますし、中にはこちらのサービスのように、フランチャイズ本部が営業代行までしてくれるところもあります。自分で商品開発や営業をするより、はるかに効率的です。

今回は、主に独立開業を成功させる上で重要な「資金」や「資格」についてお話ししました。これを参考に、ぜひ自分にぴったりのビジネスモデルを見つけてみてください。