独立開業で成功する人、失敗する人

今の会社を辞めて独立開業しようとするとき、「絶対に成功する」と確信してから始める人はほとんどいません。

むしろ「失敗しないだろうか?」「うまく行かなかったらどうしよう」といった心配をしながら、それでも勇気を出して開業する人の方が一般的でしょう。

実際、独立開業でも新規の起業でも、開業後1年以内に廃業してしまう割合は全体の40%前後、10年後までに廃業してしまう割合は90%以上とも言われます。

独立開業は、圧倒的に失敗する人の方が多いのです。

ですから「絶対に成功してやる!」という決意や覚悟は大切ですが、「絶対に成功する」と自信過剰になってしまうのは禁物です。

それよりも失敗する可能性を考えた上で、「どうすれば失敗を避けられるか?」を真剣に考える方が良いでしょう

その際に参考になるのが、成功や失敗のパターンを知ることです。

独立開業に成功する人はどんなことをしていて、失敗する人はどこが間違っていたのか。それを理解できれば、自分が取るべき行動のヒントが見つかります。

というわけで、今回のテーマは独立開業にまつわる「成功」と「失敗」です。どうぞ最後までお付き合いください。

独立開業で成功するためにやるべきこと

最初に「成功」について考えてみましょう。そもそも、独立開業の成功とはどういうことでしょうか?

独立開業の理由やきっかけは人それぞれです。ですから、なにを持って「成功」とするかも人によって微妙に違います

会社員時代の給料が低いことが不満で独立した人にとって、成功とは「収入が会社員時代を上回ること」でしょう。

職場の人間関係に嫌気がさして独立したなら、以前の会社の上司や同僚がいない「自分の理想の職場ができた」時点で、ある意味成功です。

仕事にやりがいを求めて独立開業したのなら、「自分の満足できるレベルの仕事ができるようになった」ところで成功、と言えるかもしれません。

とはいえ、どのような動機で始めたにせよ、あっという間に終わってしまっては意味がありません。また、独立開業したことで生活が不自由になるのも考えものです。

ですから「ビジネスが長続きする」「仕事とプライベートをしっかり分けられる」「きちんと儲かる」ことが、すべての独立開業に共通する成功事例と言えるでしょう。

そのためには何をすれば良いのでしょうか?そのヒントを掴むため、実際の成功パターンを調べてみましょう。

以下に挙げるのは、「お弁当」の販売で成功した人のパターンです。

・お弁当の販売というビジネスを選んだのは、もともと料理が趣味だったから
・奥さんが管理栄養士だったため、「健康」にこだわったメニューにした
・「健康」を売りにしたことで、健康に関心を持つリピーターができた
・店舗を持たない注文配達に特化することで、固定費(家賃)を抑えた
・事前注文に基づいて調理することで、仕入れのムダ・ロスをなくした
・ランチの時間帯に特化することで、仕事の拘束時間が短くなった

この人は、自分の好きなことや得意分野を選び、世の中の流れやニーズに合った商品を開発し、余計な出費や経費のムダを避ける工夫をすることで成功したと言えます。

この成功パターンは、なにもお弁当屋さんに限った話ではありません。どのような業種でも、成功している人には同じ行動パターンがあります。

ではこれらのパターンから、「独立開業を成功させるためにやるべきこと」をまとめてみましょう。

1)自分にとって成功しやすい業種を選ぶ
2)協力者を確保する
3)訴求力のある商品を用意する
4)できるだけ経費を節約する

それぞれ、ひとつずつ説明します。

自分にとって成功しやすい業種を選ぶ

これは「自分がその業種を選んだ理由をわかりやすく説明できる」と言い換えることも可能です。

「料理が好きで得意だからお弁当屋を選んだ」というのもそれに当てはまります。

ほかにも「前職が同じジャンルで経験が豊富」「専門の資格を持っている」「身近に指導してくれる人がいる」といった理由があれば、その業種は成功しやすいと言えるでしょう。

協力者を確保する

これは「複数でビジネスを始めた方が成功しやすい」という意味ではありません。単純に人数が多いからといって、成功しやすいとは限らないからです。

とはいえ「要所要所で力を貸してくれる人」や「苦しいときに相談できる人」が身近にいれば、独立開業の成功率はぐっと上がります。

上に挙げた「管理栄養士の奥さんの力を借りて健康志向のお弁当を作る」というのは理想例ですが、ただ不安を打ち明けられる家族や友人がいるだけでも良いでしょう。

訴求力のある商品を用意する

ビジネスである以上、商品やサービスを誰かに買ってもらう必要があります。そのためには、いくつかの方法があります。

・ニーズの高い商品やサービスを提供
・他と差別化された内容の商品やサービスを提供
・価格競争力のある(安価な)商品やサービスを提供

先ほどの例で言えば、「健康にこだわったメニュー」というのは「健康志向」というニーズや流行りと一致しますし、他のお弁当屋との差別化にもなります。

ただし価格競争力、つまり値段の安さを訴求力にすると、最悪の場合「売っても売っても儲からない」ことになります。大量販売で勝負する大規模小売店以外では難しい手法と言えるでしょう。

できるだけ経費を節約する

開業時にかかる資金をできるだけ抑えること、その後の運転資金を抑えることも重要です。

先ほどの例なら「店舗を持たないことで固定費(家賃)を抑える」「事前注文を受けることで仕入れのムダ・ロスをなくす」などが相当します。

・店舗を持つ必要があるか?無店舗営業や自宅事務所でも大丈夫か?
・人を雇う必要があるか?自分一人でも営業できるか?
・仕入れの費用を抑えたり、商品の保管にかかる費用を抑えることはできるか?

など、さまざまな角度から費用を抑える検討や工夫が必要でしょう。

いまお話しした4つのポイントは、どれも独立開業で成功した人のほとんどに共通する特徴です。これから独立開業を検討する方は、ぜひ意識するようにしてください。

独立開業で失敗しないために気を付けるべきこと

独立開業の「失敗」。これから独立開業しようとする人にとっては最も避けたい事態です。

ですが先ほどもお話しした通り、新しいビジネスを始めた人の4割は1年以内に、さらに9割以上は10年以内に廃業しています。

ですから少しでも失敗を避け、ビジネスを長続きさせるためには「他人の失敗から学ぶ」ことも必要でしょう

では、独立開業で多くの人が失敗するポイントを、4つのカテゴリに分けてご紹介します。

1)お金に関する失敗
2)知識に関する失敗
3)人間関係に関する失敗
4)考え方(性格)に関する失敗

それぞれ、ひとつずつ見てみましょう。

お金に関する失敗

お金に関する失敗は、独立開業の失敗事例の多くに共通しています。特にありがちなのが「開業時に不必要な出費をしてしまう」というものです

たとえば事業に必要ないほど大きな店舗や立地の良すぎる事務所を借りたり、内装や設備にお金をかけすぎてしまうと、開業後の運転資金に回すお金がなくなり「早期廃業」ということになりかねません。

また無計画に仕入れを行ったものの思うように販売できず、大量の在庫を抱えたまま廃業、ということもあります。

独立開業する場合、お金に関してはどれほど慎重になっても、慎重過ぎることはありません

開業資金、運転資金、生活費などに十分余裕を持ち、事業が軌道に乗るまでは極力ローリスクの運営を心がけるようにしましょう。

知識に関する失敗

会社員としての知識と経営者としての知識はまったく別物です。ビジネスを運営していくには、自分の事業に関する十分な知識はもちろん最低限の財務知識も必要です。

一方で、経営に関するすべてのことを自分で無理にやろうとするのも禁物です。会社設立の手続きや確定申告、その他の税務・労務手続きなど、自分でやるよりも士業などに任せたほうがよい場合もあります

事業の規模や内容に合わせて、柔軟に対応することが重要でしょう。

人間関係に関する失敗

友人や知人など、何人かで共同して事業を始める場合は要注意です。

たしかに複数人での開業は心強いですし、それぞれが違う得意分野を持っていればお互いを補い合ってビジネスを成功させることもできるでしょう。

一方で、互いの意見の相違や感情的な対立が原因で廃業に追い込まれるケースも少なくありません。特に事業が軌道に乗り始めたころによく見られます。

対立の原因はビジネスの進め方やお金の配分などいろいろですが、せっかく軌道に乗った事業がそんな理由で終わることになると、お金と人脈を同時に失うことになりかねません。

独立開業する際は、自分ひとりではじめるか、それとも誰かと組んで始めるか、よく検討する必要があるでしょう。

考え方(性格)に関する失敗

勢いと感覚に任せてどんどん突き進む…ビジネスの世界には、時々そういう人がいます。それが大当たりして急成長する企業もありますが、現実には途中で大失敗するケースの方が大多数です。

経営者にはバランス感覚が必要です。あまりに楽天すぎてはいけませんし、悲観的すぎるのも禁物です。

また、お金にいい加減で会社のお金をしっかり把握しない人もうまく行きません。

独善的で他人の意見に耳を傾けないと思わぬ失敗をしますし、他人の意見に影響されすぎるのも考えものです。

性格を修正するのは難しいですが、少なくとも独立開業で成功したいなら、自分の性格を冷静に分析して慎重に行動するようにしましょう

フランチャイズの活用もおすすめ

ここまでで、独立開業が成功するパターン、失敗するパターンについて考えてきました。自分や、自分がやろうとしている独立開業に当てはまるものはあったでしょうか?

もし成功パターンに当てはまる部分があれば、それを徹底的に伸ばしてください。また、失敗パターンに当てはまるものがあれば、しっかり対策をしましょう

そうすることで独立開業が成功する可能性は一気に上がります。

ところで、成功パターンの中に「自分にとって成功しやすい業種を選ぶ」というものがありました。おさらいすると、成功しやすい業種の特徴には以下のようなものがありました。

・自分の好きなジャンルや得意なジャンルである
・前職が同じジャンルで経験が豊富
・専門の資格を持っている
・身近に指導してくれる人がいる

とはいえ、こうした条件が1つも満たせないケースは、決して少なくありません。

たとえば自分の好きなジャンルではビジネスにならない、もしくは開業のハードルが高い場合もあるでしょう。たとえば「鉄道が好き」だからといって、鉄道会社を作ることは難しいです。

また、前職と同じ業種に参入すると、元いた会社を敵に回してしまう(というよりも、相手が強すぎてビジネスにならない)ということも考えられます。

では、「成功しやすい業種」に当てはるものがない場合、独立開業はあきらめたほうが良いのでしょうか?

そんなことはありません。まったく未経験でも、周りに頼れる人がいなくても成功率の高いビジネスモデルがあります。

それが「フランチャイズ」です

フランチャイズで代表的なのは「コンビニエンスストア」や「お弁当チェーン」「クリーニングチェーン」などがあります。

フランチャイズ店舗を手がけるオーナーのほとんどは、特にノウハウがあったわけでも業界で経験を積んできたわけでもありません。また基本的に、フランチャイズで開業するのに特別な資格は必要ありません。

全国に展開しているフランチャイズなら豊富なノウハウをマニュアル化しているので、まったく初めての人でも効率的にノウハウを覚えられますし、取り扱う商品・サービスも実績のあるものばかりです。

またフランチャイズ本部が相談に乗ってくれたり、ここのように営業を代行してくれることもあるので、身近に協力者がいなくても大丈夫です

世の中にはいろいろなジャンルのフランチャイズがあるので、その中から自分に合ったもの、興味が持てるもの、地域のニーズに合ったものなどを探してみると良いでしょう。

独立開業は人生の中で大きな決断です。成功の可能性を少しでも高めるうえで、今回の記事が参考になれば幸いです。